陶芸作家 辰巳 香 個展
暑い暑い夏がやってきました。
この季節にも涼しい風が吹き、優しく包んでくれるような美しい景色を見ている感覚になる陶芸作家、辰巳 香さんの個展を2年ぶりに開催させて頂きます。
【会期】7月14日(金)〜22日(土) 水日休み
12:30-18:00
【場所】This___2nd(This___店舗真向かい)
※作家在店:7月14日(金)、15日(土)、17日(月)
※オンラインショップ掲載:7月30日(日)20:00~
2021年にThis___で初めて辰巳さんの個展を開催し、その頃から沢山の変化と経験をしてきた辰巳さん。
現在は埼玉県から岐阜県に製作の拠点を移され、辰巳さんのゆったりとした優しい雰囲気が、場所や環境が変わる事で、新しい風が吹き、強く、堂々としていて、その中にとっても大きな優しさを感じる作品を今回This___の為に沢山ご用意頂きました。
辰巳さんの作品は、静かで凛とした印象の一方で、どこかやわらかく緩やかな、その不思議な魅力に吸い込まれそうになります。
辰巳さんご自身も、静かで穏やかな雰囲気をもってらっしゃる一方、作陶に強い芯をもち、それが作品にそのまま反映されているような、そんな印象を受けます。
今回新しく挑戦されたキラキラとガラスの様に光りを放ち反射する質感は、美しい水面のようです。
そして繊細なグラデーションの色彩はそれぞれに独特な表情を持っていて、しっとりと涼やかにこの暑い今の季節は清涼感さえ感じます。
美しい空や海や山の壮大な景色を見ているような、透き通るような質感と美しい色彩。
形に押し当てられてできる独特の歪みと、ぽってりとした表情で作品自身が付ける陰影もとても美しく、マグカップなどは口当たりの良いように先へゆくほど薄く繊細になっています。
今回、This___の展示の為に以前から挑戦してみたかったという手捻りの花器、大きい作品も作って頂き、定番のプレートやカップから新作まで、本当に沢山の作品が並びます!
ぜひ、辰巳さんの感性や空気感を感じていただけたらと思います。
以下、辰巳さんより-------------------
ものの纏う空気感や佇まいはそこに至るまでの無数の出来事が積み重なって現れるものだと思います。
素材の性質によるつくり上げるまでの過程や構造、かかった時間、物理的な必然、偶然。
心が強く動いた景色やものの表情、記憶。
それらに対しての、手の平にそっとのせて撫でてあげたくなる愛情…のようなもの。
そのひとつひとつを選びとり、少しずつ寄り沿わせながら手を動かしていけば、見たかったもの感じたかった空気感を目の前につくることができるのではないか、と考えています。
今回の展示に向けてつくっているとき、器の中のさまざまな線が重なること、線や縁の関係について考えていました。
遠くのものが落とす影の縁が、涼やかにぼやけて地面に馴染み、それでいて確かな存在感を持っているような、そんなものを思い浮かべていました。
器の中の線たちが、手に持って使われる時や置かれた場所で、ひっそりと周りの景色と反応し合っていたらいいなぁと思います。
1994年神奈川県生まれ
多摩美術大学美術学部工芸学科陶プログラム 卒業
多治見市陶磁器意匠研究所 修了
現在埼玉県にて制作
陶芸作家:辰巳香
―2年ぶりのThis___での個展、私たちもお客様もとても楽しみにしています!拠点を埼玉から岐阜に移されて、心境の変化などはございましたか?
私もまたThis___さんで展示ができることを楽しみにしていました!
こちらに拠点を移してから、以前よりも制作にたくさん時間をかけられるようになりました。
貸工房ですが、自分の場所を持てたことがとても嬉しくて…
気になっていたことや試してみたかったことなどにも取り組みながら、より集中して制作できるようになったと思います。
―自身を表現される手段として陶芸を選ばれたきっかけがあれば教えてください。
小さい頃からつくることが好きだったので、色々な素材に興味がありました。
その中でも陶の先生の話すことは面白いな、とか粘土でつくっている時の時間の流れ方が心地良いな、楽しいな、とか焼きあがったものに、それまで向けていた様々なことが感じられるようなところがとても自分に合っていました。
自分と陶との相性の良さを感じる瞬間を積み重さねて、だんだんと近づいていったような気がします。
―前回の展示では製作時に「遠くのものが落とす影の縁が涼やかにぼやけて地面に馴染み、それでいて確かな存在感を持っているような、そんなものを思い浮かべていました。」と仰っていたのが印象的で、まさに辰巳さんの作品そのものを表しているなあと感じました。作品を生み出す際に影響を受けている出来事などはございますか?
住宅街などを散策したり、電車から街並みを眺めていると、面白いものの表情や現象、美しい瞬間、どうしてそんなことに…?と考えてしまうような光景がたくさんあります。
そういうものに出会うと何かをつくりたい気持ちが募っていき、周りに人がいない時は写真を撮ったり、線などをドローイングしています。
自分のつくるものに、これはあの時のあれだな、と思う時もあれば、無意識に影響を受けてそうしていることもあるのではないか、とも思います。
―今回This___のために作っていただいた新作に対する想いをお聞かせください。
展示のお話をしている時に、This___さんから小さめのプレートをご提案頂きつくりました。
食べるものを置くお皿、というよりは何か小さいものを見失わないように置いておく、少しきらっと光る場所、のようなイメージです。
表面張力のふっくらした線がThis___にあるたくさんのまるい石の感じとも合いそうだな、と思っているので展示が楽しみです。
―This ___のお客様へメッセージをお願い致します。
見てくださった方の素敵な捉え方や言葉を思い出すと、いつも嬉しい気持ちになります。そして今はとても緊張しています。
ぜひ手にとってたくさん眺めて、This___さんの空間と共に心に残る展示になればと思います。
私も初日の14日(土)15日(日)、17日(月)在店しています。よろしくお願いします!
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